【薬剤師解説・最新】「はしか」が再流行中!高齢者の皆さまに今すぐ知ってほしいリスクと予防法

 

こんにちは、以前1月のブログでお伝えした時よりも「はしか(麻疹)」の感染状況がさらに深刻になっています。東京都内でも連日のように報告が相次いでおり、薬剤師として皆さまに再度、そしてより一層の注意を呼びかけたく筆を執りました。

「はしかは子供の病気でしょう?」と思われている方も多いかもしれませんが、今、大人、そして高齢者の間でも感染のリスクが高まっています。正しい知識を持って、ご自身と大切なご家族を守る準備をいたしましょう。

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1. 最新の流行状況:首都圏を中心に広がる感染

現在、はしかの報告数は全国的に増加しており、特に東京をはじめとする首都圏での広がりが顕著です。

  • 全国の累計患者数: 362人(2026年4月19日までの速報値)
  • 主な感染報告地域:
    • 東京都: 153人(全国最多)
    • 神奈川県: 36人
    • 鹿児島県: 34人
    • 千葉県: 24人
    • 埼玉県: 22人

最近の事例では、2026年4月に東京都新宿区の小学校で児童41名、教職員6名が感染する大規模な集団発生が報告されました。注目すべきは、この事例では海外渡航歴がない方でも感染が確認されている点です。つまり、海外に行かなくても、私たちの日常のすぐそばにウイルスが潜んでいるのが今の現状なのです。

また、今年の感染者のうち約71%が「ワクチン未接種」または「1回のみ」、あるいは「接種歴不明」の方々です。この数字からも、十分な免疫を持っていないことが感染の大きな要因であることが分かります。

2. 「はしか」の驚異的な感染力:マスクだけでは防げない理由

はしかの最大の特徴は、その「驚異的な感染力」にあります。免疫を持っていない人がウイルスと同じ空間にいるだけで、ほぼ100%感染すると言われるほどです。

インフルエンザと比較すると、その差は一目瞭然です。

感染症の種類

基本再生産数(1人の感染者からうつる人数)

感染力の強さ(比較)

はしか

12 〜 18人

インフルエンザの約10倍

インフルエンザ

1.2 〜 2人

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※基本再生産数:全員が免疫を持っていないと仮定した際、1人の患者から何人にうつるかを示す指標。


はしかは「空気感染」をします。ウイルスが非常に小さく、空気中に長時間漂うため、手洗いや一般的なマスクの着用だけでは完全に防ぐことが困難です。

発症すると39度以上の高熱や発疹が現れ、肺炎や脳炎といった重い合併症を引き起こします。先進国であっても1,000人に1人が亡くなる可能性があり、さらに数年〜10年後に「SSPE(亜急性硬化性全脳炎)」という、ゆっくりと進行する重い脳の病気を発症するリスクも潜んでいます。決して侮れない病気なのです。

3. 衝撃の事実:免疫が「数年間リセット」されてしまう?

はしかの恐ろしさは、目に見える症状だけではありません。感染すると「免疫のリセット(免疫記憶の消失)」という現象が起きることが分かっています。

これは、これまで体が記憶してきた「他の病気(インフルエンザなど)への戦い方」を、ウイルスが攻撃して忘れさせてしまう状態です。例えるなら、「赤ちゃんのような無防備な状態」に戻ってしまうのです。

恐ろしいことに、この「免疫の空白期間」は数年にわたって続くことがあります。はしか自体が治った後も、他のかぜや感染症にかかりやすく、重症化しやすい体になってしまうリスクがあることを、ぜひ知っておいてください。

4. なぜ「高齢者・大人」が注意すべきなのか:免疫の空白と低下

※生まれた年代によって、はしかに対する免疫の状態は大きく異なります。

  • 1977年以前に生まれた方 当時はしかが自然流行していたため、一度かかって強い免疫(自然免疫)を持っている方が多い世代です。しかし、近年は国内での流行が減ったことで、ウイルスに触れて免疫を呼び覚ます「ブースター効果(免疫の天然の追い打ち)」が得られなくなっています。そのため、加齢とともに免疫力が低下している可能性があります。
  • 1978年〜2005年生まれの方 ワクチンの定期接種が「1回のみ」だった世代です。1回の接種では十分な免疫がつかないか、時間の経過とともに免疫が弱まっている可能性が非常に高いです。日頃お薬を使用している方の中で、ステロイドや免疫抑制剤を使われている方は、お薬の影響で免疫機能が抑えられているため、より一層の注意が必要です。

 

5. 今日からできる具体的な対策:抗体検査とワクチンの検討

ご自身と周りの方を守るために、以下のステップを検討してみましょう。

  1. 母子手帳を確認しましょう ご自身の予防接種歴を確認してください。
  2. 抗体検査を受けましょう 「記録がない」「免疫があるか不安」という方は、医療機関で血液検査(抗体検査)を受けられます。
  3. MR(麻しん風しん混合)ワクチンの接種 現在は「はしか」と「風しん」を同時に予防できるMRワクチンが一般的です。

ここで一つ、大切なお話があります。2回接種していても感染した方が多数いる。 「えっ、打っても意味がないの?」と思われるかもしれませんが、そうではありません。ワクチンの真の目的は「重症化を防ぐこと」です。2回接種していれば、万が一感染しても、肺炎や脳炎などの命に関わる合併症になるリスクを劇的に下げることができます。

 

大人のワクチン接種は基本的に自費ですが、自治体によっては「MRワクチン接種の助成制度」や「クーポン券」を用意している場合があります。
私が調べたところによりますと、東京23区では、かなりの区で成人に対するワクチンの助成を行っています。その場合、麻疹単独よりも「MRワクチン」あるいは「麻疹・風疹抗体検査」として案内されているほうが多いようです。お住まいの市区町村へ確認してみてください。街の薬局薬剤師に「私の地域には助成があるかしら?」と聞いていただければ、分かると思います。


6. 体調に不安を感じた時の正しい行動マナー

もし、「はしかかな?」と思う症状(高熱、咳、鼻水、赤い発疹など)が出た場合は、以下の行動をお願いいたします。

  • いきなり受診せず、必ず事前に医療機関へ「電話」で相談する 直接病院に行くと、待合室で他の方に感染を広げてしまう恐れがあります。まずは電話で症状を伝え、病院の指示(入り口を分けるなど)に従ってください。
  • 公共交通機関(電車やバス)の利用を避ける はしかの感染力は非常に強力です。移動の際は自家用車やタクシーなどを利用し、他人との接触を最小限にするのが、周りの方や地域への思いやりとしてのマナーです。

おわりに:薬剤師からのメッセージ

はしかは決して「子供だけの病気」ではありません。むしろ、かつての免疫が弱まっている可能性がある大人・高齢者こそ、今もっとも注意すべき時期に来ています。

皆さまがこれからも元気に、安心して毎日を過ごせるよう、まずはご自身の免疫状態を知ることから始めてみませんか?母子手帳が見当たらない、どの病院に行けばいいか分からないといった些細なことでも、いつでも街の薬局のカウンターで薬剤師に声をかけてくださいね。

皆さまの健やかな毎日を、心より願っております。

 

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