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ある日突然、耳が聞こえづらくなったら?高齢者が知っておきたい「突発性難聴」【薬剤師が解説】

 

1. はじめに:薬剤師からのメッセージ

高齢者の方から「最近、耳が遠くなった気がするけれど、年のせいかな?」というご相談をよくいただきます。

しかし、もしその聞こえにくさが「ある日、突然」やってきたものだとしたら、それは単なる加齢のせいではありません。その正体は、一刻も早い治療が必要な「突発性難聴」である可能性があるのです。

この病気は、何よりも「時間との勝負」です。この記事では、大切な「聞こえ」を守るために、早期発見のポイントと、私たち薬剤師だからこそお伝えできる治療の注意点を優しく解説します。

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2. 「突発性難聴」とはどんな病気?

「突発性難聴」とは、名前の通り、ある日突然、片方の耳の聞こえが悪くなる病気です。

 

特徴:発症の「瞬間」を覚えている

この病気の最大の特徴は、「いつ、何をしている時に起こったか」をはっきり思い出せることです。「朝起きてテレビをつけた時」「電話の受話器を当てた時」など、発症の瞬間が明確なことが多く、これが診断の大きな手がかりになります。

 

加齢による難聴との違い

高齢の方に多い「加齢性難聴」は、数年かけてゆっくりと両耳が聞こえにくくなるものです。一方、突発性難聴は**「急激に」「片方の耳だけに」**起こります。

実は、この病気は50代から70代の方に特に多く、年間で約7万6,500人もの方が発症しているというデータもあります。決して珍しい病気ではありませんが、放置すると聴力が戻らなくなる恐れがあるため注意が必要です。

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3. 見逃さないで!高齢者に現れやすい初期症状

「音が聞こえない」以外にも、以下のようなサインが現れます。ご自身やご家族に当てはまるものがないか、チェックしてみてください。

  • 耳の閉塞感(耳が詰まった感じ): 全く聞こえない場合だけでなく、耳に水が入ったような「詰まった感じ」や「音が二重に響く感じ」として現れることもあります。
  • 突然の耳鳴り: 難聴とほぼ同時に、耳の中で**「キーン」「ピー」という高い音**が鳴り始め、一日中収まらないことがあります。
  • めまい・吐き気: ぐるぐると目が回るような回転性のめまいや、吐き気を伴うことがあります。めまいがある場合は、内耳へのダメージがより強い可能性があるため、より迅速な対応が求められます。

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4. なぜ「48時間以内」の受診が大切なのか?

突発性難聴の治療には、聴力を取り戻せる**「ゴールデンタイム」**があります。

 

12時間の差が明暗を分けることも

最も効果的なのは発症から48時間以内の受診です。遅くとも1週間から2週間以内に治療を始めないと、聴力を戻すのは非常に難しくなります。

もし夜間や休診日に異変を感じたら、救急車を呼ぶ必要はありませんが、**「翌朝一番に必ず耳鼻咽喉科へ行く」**と心に決めてください。この「12時間の差」が、後の生活を大きく変えることになるからです。

 

回復の目安

残念ながら、治療をしても全員が元通りになるわけではありません。最新の医学データでは、**「完全に治る方は約30〜40%」**とされています。残りの方は「改善はするが後遺症が残る」、あるいは「全く改善しない」という厳しい現実があります。だからこそ、少しでも完治の確率を上げるために「一刻も早い受診」が必要なのです。

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5. 薬剤師が教える「治療薬と副作用」の注意点

薬局で私たちが特にお伝えしたい、お薬に関する大切なポイントです。

 

ステロイド治療と「お薬手帳」

治療の主役は、炎症を抑える**「副腎皮質ステロイド」です。ここで重要なのが、受診時に必ず「お薬手帳」**を持参することです。高齢の方は血圧や心臓の薬を飲まれていることが多いですが、飲み合わせの確認は欠かせません。

 

【重要】糖尿病をお持ちの方へ

ステロイドには「血糖値を急激に上げる」副作用があります。糖尿病がある方は、血糖値が激しく上下(乱高下)するため、インスリンなどで血糖を細かく管理するために、数日間の入院治療を勧められることがあります。「耳の病気で入院?」と驚かれるかもしれませんが、安全に治療を受けるための大切なステップです。

 

薬のやめ方に注意(漸減療法)

ステロイドは、1〜2週間かけて少しずつ量を減らしていきます。これを**「漸減(ぜんげん)療法」**と呼びます。 急に薬をやめるのは、猛スピードで走っている車のブレーキを急に踏むようなもので、体に大きなショックを与えてしまいます。症状が良くなったからといって、自己判断で中止せず、医師の指示通り最後までゆっくりと減らしていくことが完治への近道です。【とても大事!!】

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6. これって本当に突発性難聴?間違いやすいケース

「急に聞こえなくなった」際、他の原因が隠れていることもあります。

  • 耳垢(みみあか)の詰まり: 高齢の方は耳垢を奥へ押し込んでしまうことがあり、それが水分で膨らんで耳を密閉することがあります。この場合、耳鼻科で取り除いた**「その瞬間」**に聞こえが元に戻ります。安心するためにも一度診てもらいましょう。
  • 急性低音障害型感音難聴: 低い音だけが聞こえなくなる病気で、再発を繰り返しやすいのが特徴です。
  • 聴神経腫瘍(ちょうしんけいしゅよう): 耳の奥の神経にできた腫瘍が原因の場合があります。ステロイドで改善しない場合、**「他に悪い病気が隠れていないかを確認する安全チェック」**として、MRI検査を勧められることがあります。

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7. 日常生活でできる予防と養生

お薬の効果を最大限に引き出すためには、体の環境を整えることも重要です。

  • 心身の安静: ストレスや過労、睡眠不足は内耳の血流を悪化させます。治療中は「心と体を休めること自体が仕事」だと思って、ゆっくり過ごしてください。
  • 静かな環境: 耳への負担を減らすため、イヤホンの使用や大音量のテレビは控えましょう。
  • 基礎疾患の管理: 高血圧や糖尿病などの生活習慣病を日頃からしっかり管理しておくことが、内耳の血管を守ることに繋がります。

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8. まとめ:早めの相談があなたの「聞こえ」を守ります

耳に異変を感じたら、次の3つのステップをすぐに実行しましょう。

  1. 「いつ、何をしていた時か」をメモする。
  2. 迷わず「48時間以内」に耳鼻咽喉科を受診する。
  3. 受診時は「お薬手帳」を出し、糖尿病などの持病を必ず伝える。

突発性難聴は、早期発見と適切な治療、そして十分な安静があれば、回復の可能性を広げることができる病気です。「年のせいかな?」と片付けず、ご自身の感覚を信じて早めに専門医に相談してくださいね。

皆さんの大切な「聞こえ」と健やかな毎日を、私たち薬剤師も全力で応援しています。不安なことがあれば、いつでもお薬手帳を持って薬局へお越しください。

 

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